どんな病気?

患者さんのイメージ

AHPは、激しい腹痛に加え、様々な症状が持続することがある遺伝性の病気です

  • 急性肝性ポルフィリン症(AHP*)は、体の中にある「ヘム」と呼ばれる物質を作る過程で必要な酵素(タンパク質の一種)の遺伝子に変異があることで発症する遺伝性の病気です。
  • AHPでは、ヘムが作られる途中段階の物質(ヘム生合成中間体)が体内で必要以上に作られて、これらが神経の働きを障害することで、急に起こる激しい腹痛に加え、手足の脱力/痛みや便秘/下痢、不安感、頻脈など、様々な症状が持続すると考えられています。ヘム前駆体、ポルフィリン中間体などと呼ばれることもあります。
  • 男性よりも女性で多いことがわかっています。

acute hepatic porphyria

AHPの症状が起こるしくみ

「ヘム」を作る過程で必要な酵素の遺伝子に変異があると……

遺伝子のイメージ
下向き矢印

ヘムが作られる途中段階の物質(ヘム生合成中間体)が体内で必要以上に作られる

ヘム生合成中間体のイメージ
下向き矢印

ヘム生合成中間体が神経に作用して、神経の働きを障害する

神経の働きを障害するヘム生合成中間体のイメージ
下向き矢印

激しい腹痛に加え様々な症状が持続する

激しい腹痛や様々な症状に苦しむ患者さんのイメージ

AHPは、尿検査により診断します

  • 病気を診断するためには、血液検査や画像検査など様々な検査が行われますが、それらの検査では診断できない病気があります。
  • AHPもその一つで、AHPの診断のために追加の尿検査を行います。
  • AHPの方では、ヘムが作られる途中段階の物質(ヘム生合成中間体)である「アミノレブリン酸(ALA)」や「ポルフォビリノーゲン(PBG)」などの物質がたくさん尿中に出てくることがあります。
  • そのため、尿検査ではこれらの項目について、健康な人の多くにあてはまる検査値の範囲[基準値(下記の値)1)]を超えているかどうかを調べます。
尿検査のイメージ
尿検査で調べる項目 基準値*
δ-アミノレブリン酸(ALA) 0.7~2.5mg/g・Cr
ポルフォビリノーゲン(PBG) 2mg/g・Cr以下
ウロポルフィリン(UP) 2~44μg/g・Cr
コプロポルフィリンⅢ(CPⅢ) 0.6~150μg/g・Cr

随時尿、クレアチニン補正値を示す。

  1. 櫻林郁之介, 熊坂一成 監/伊藤機一ほか 編『最新臨床検査項目辞典』医歯薬出版, 2008年