AHPについて

遺伝

1. 遺伝と遺伝子

  • 遺伝とは、生物がもっている性質が世代から世代へ受け継がれていくことで、親から子へ性質を伝えるものが遺伝子です。
  • 遺伝子はDNAでできています。
遺伝のイメージ

両親の性質(顔つき、体型など)は遺伝子(DNA)を介して子どもへ受け継がれる

2. 染色体とDNA

  • ヒトの細胞の核の中には23対46本の染色体があり、半分の23本は父親から、残りの23本は母親から受け継いだものです。
  • 1つ1つの染色体をほどくと出てくるひも状のらせんの構造をした物質がDNAです。
ヒトの染色体のイメージ

3. 遺伝子と病気

  • 体の中のあらゆる場所にあるタンパク質(筋肉、臓器、皮膚、骨などの主要成分、体の機能を調整するホルモン、酵素、抗体などの材料)は遺伝子の情報を元に作られます。
  • 遺伝子の一部に変異があると、タンパク質を正しく作ることができなくなり、それが原因で病気を引き起こすことがあります。
  • この遺伝子の変異が原因で発症する病気を「遺伝性の病気」といいます。
  • 急性肝性ポルフィリン症(AHP*)は、様々な遺伝子のうち、「ヘム」と呼ばれる物質を作る過程で必要な酵素の遺伝子の一部に変異があることで発症する遺伝性の病気です。
  • AHPの場合、4つのタイプのうち、急性間欠性ポルフィリン症(AIP)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)、異型ポルフィリン症(VP)では、対になった染色体のうち、どちらか一方にこの病気の原因となる遺伝子の変異があると発症する可能性があります。
  • 両親のどちらかでこの病気の原因となる遺伝子に変異がある場合、子にその変異が受け継がれる(遺伝する)可能性は50%です。

acute hepatic porphyria

変異のある遺伝子が受け継がれる可能性

変異のある遺伝子が受け継がれる可能性のイメージ

AHPの4つのタイプのうち、AIP、HCP、VPの場合です。ADPの場合は異なります。

「受け継がれる可能性が50%」とは、「子ども2人のうち1人に必ず受け継がれる」という意味ではなく、「それぞれの子どもに50%の確率で受け継がれる」という意味です。AHPにおいては、遺伝子の変異が受け継がれる確率に、男女差はありません。 遺伝子の変異が受け継がれたとしても、必ず発症するとは限りません。