医療費助成制度と社会福祉サービス

医療費助成制度と社会福祉サービスについて学ぶ急性肝性ポルフィリン症(AHP)患者さんのイメージ

医療費助成制度

1.高額療養費制度

高額療養費制度は、同一月(同じ月の1日~末日)に医療機関の窓口で支払う医療費が高額になる場合に、一定の金額(自己負担上限額)を設けて支払いの負担を抑えてくれる制度です。

対象となる患者さん
同一月(同じ月の1日~末日)に、医療機関(病院や薬局など)の窓口で支払う医療費が自己負担上限額を超えた方
指定難病と診断されても指定難病医療費助成制度の要件を満たさない方も含みます。
助成の範囲
指定難病以外の医療費を含む、すべての医療費
保険適用外の診療や入院中の食事代・差額ベッド代などは範囲外になります。
自己負担上限額
年齢と年収に応じて自己負担上限額が決定されます。

70歳未満

所得区分

ひと月の自己負担上限額(外来+入院:世帯ごと)

1~3回

4回目以降*1

年収約1,160万円~

健保:標準報酬月額83万円以上

国保:旧ただし書き所得901万円超

252,600円 + (医療費-842,000円) × 1%

140,100円

年収約770万~約1,160万円

健保:標準報酬月額53万~79万円

国保:旧ただし書き所得600万~901万円

167,400円 + (医療費-558,000円) × 1%

93,000円

年収約370万~約770万円

健保:標準報酬月額28万~50万円

国保:旧ただし書き所得210万~600万円

80,100円 + (医療費-267,000円) × 1%

44,400円

~年収約370万円

健保:標準報酬月額26万円以下

国保:旧ただし書き所得210万円以下

57,600円

44,400円

住民税非課税者

35,400円

24,600円

  1. 過去12ヵ月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から「多数回該当」となり、上限額が下がります。

70歳以上

所得区分

ひと月の自己負担上限額(世帯ごと)

外来(個人ごと)

外来+入院(世帯ごと)

1~3回

4回目以降*3

年収約1,160万円~

標準報酬月額83万円以上

課税所得690万円以上

252,600円 + (医療費-842,000円) × 1%

140,100円

年収約770万~約1,160万円

標準報酬月額53万円以上

課税所得380万円以上

167,400円 + (医療費-558,000円) × 1%

93,000円

年収約370万~約770万円

標準報酬月額28万円以上

課税所得145万円以上

80,100円 + (医療費-267,000円) × 1%

44,400円

年収約156万~約370万円

標準報酬月額26万円以下

課税所得145万円未満*2

18,000円

年間の上限144,000円

57,600円

44,400円

Ⅱ住民税非課税者

8,000円

24,600円

Ⅰ住民税非課税者

(年金収入80万円以下など)

15,000円

  1. 世帯収入の合計額が520万円未満(1人世帯の場合は383万円未満)の場合や、「旧ただし書き所得」の合計額が210万円以下の場合も含みます。
  2. 過去12ヵ月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から「多数回該当」となり、上限額が下がります。
事業主から支払われている給与の総支給額(基本給や家族手当、住宅手当、通勤手当、残業手当など)の月額で区分(健康保険:1~50等級、厚生年金保険:1~32等級)したものです。自分の標準報酬月額は、全国健康保険協会のホームページなどに掲載されている表で調べることができます。表の「報酬月額」の項目から自分の1ヵ月の総支給額にあたる範囲を探して、それに該当する等級や月額を確認しましょう。
前年の総所得(退職所得は除く)から住民税基礎控除額(43万円)を差し引いた金額で計算される区分です。
各種所得額(収入金額から必要経費を引いた額)から地方税法上の各種所得控除等を差し引いた額のことです。
保険適用される診療費用の総額(10割)のことです。

負担をさらに軽減する仕組み

お一人1回分の窓口負担では上限額を超えない場合でも、複数の受診や、同じ世帯にいる他の方(同じ医療保険に加入している方)の受診について、窓口でそれぞれ支払った自己負担額を1ヵ月単位で合算することができます。70歳未満では、同一医療機関で1件21,000円以上を負担した場合にのみ合算できる点に注意が必要です。
同じ世帯で、過去12ヵ月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目からの上限額が下がります。

例:高額療養費制度を使用した場合

患者さんの例のイメージ

制度利用前の窓口負担額は3割負担で30万円ですが、制度を利用することで高額療養費(212,570円)が給付され、実際の窓口負担額は上限額の87,430円になります。

制度利用前の窓口負担額:30万円(3割負担)

制度利用後の窓口負担額:87,430円

高額療養費制度を使用した場合の例のイメージ
  1. 「特定医療費(指定難病)受給者証」についてはこちらをご覧ください。
医療費助成の申請から制度利用までの流れ
高額療養費の申請方法は、(A)事後に手続きをする方法(高額療養費を支給申請する場合)と(B)事前に手続きをする方法(「限度額適用認定証」を利用する場合)があります。
(A)事後に手続きをする方法(高額療養費を支給申請する場合)
同一月(同じ月の1日~末日)に、医療機関(病院や薬局など)の窓口で支払った医療費が自己負担上限額を超えた場合、その超えた分が払い戻しされます。
  1. 最初に医療機関の窓口で健康保険の自己負担割合に応じた医療費を支払います。
  2. その自己負担額が高額療養費制度で定められている自己負担上限額を超えていた場合は、患者さんが加入している公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽの都道府県支部、市町村国保、後期高齢者医療制度、共済組合など)の窓口に「高額療養費支給申請書」を提出し、高額療養費支給の申請を行います。
  3. その後、自己負担上限額を超えた金額が払い戻しされます。
事後に手続きをする場合の医療費助成の申請から制度利用までの流れのイメージ
  1. 医療費総額の3割負担(年齢により1割負担、2割負担の場合があります)
  2. 払い戻しは診察月から少なくとも3ヵ月程度かかります。
過去の申請漏れも診療を受けた月の翌月の初日から2年前までさかのぼって認められます。 医療機関にかかった際の領収書などは必ず保管しておくようにしましょう。
(B)事前に手続きをする方法(「限度額適用認定証」を利用する場合)
医療費が高額になることが事前にわかっている場合は、「限度額適用認定証」を利用することで、同一月(同じ月の1日~末日)における医療機関の窓口での支払いを自己負担上限額までに抑えることができます。
  1. 医療費を支払う前に、患者さんが加入している公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽの都道府県支部、市町村国保、後期高齢者医療制度、共済組合など)の窓口に、「限度額適用認定証」交付の申請を行います。
  2. 「限度額適用認定証」が交付されます。
  3. 医療機関の窓口に「限度額適用認定証」を提示し、高額療養費制度の自己負担上限額のみを支払います。
事前に手続きをする場合の医療費助成の申請から制度利用までの流れのイメージ
  1. 70歳以上の方で、年収が「約156万~約370万円」及び「約1‚160万円以上」の方は健康保険証と高齢受給者証を医療機関窓口に提示することで自己負担額までの支払いになります。また、年齢にかかわらず住民税非課税世帯の方は「限度額適用・標準負担額減額認定証」の申請が必要です。詳しくは、加入されている公的医療保険の窓口にお問い合わせください。
  2. 交付は申請から少なくとも3ヵ月程度かかります。
  3. 70歳以上75歳未満の方は「高齢受給者証」、75歳以上の方は「後期高齢者医療被保険者証」も必要です。また、住民税非課税の方は「限度額適用・標準負担額減額認定証」が必要となります。詳しくは、加入されている公的医療保険の窓口にお問い合わせください。
限度額適用認定証の有効期間は最長で1年間です。 有効期限を過ぎた後も必要な場合は、更新の手続きが必要になります。 (後期高齢者医療の保険証をお持ちの方は自動更新されるため、更新手続きは必要ありません)

「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html (2021年8月閲覧) 「全国健康保険協会ホームページ」https://www.kyoukaikenpo.or.jp/ (2021年8月閲覧)