医療費助成制度と社会福祉サービス

医療費助成制度と社会福祉サービスについて学ぶ急性肝性ポルフィリン症(AHP)患者さんのイメージ

医療費助成制度

2.難病医療費助成制度

難病医療費助成制度は、国が定める病気(指定難病)の患者さんで、症状が一定程度以上又は高額な医療費を支払っている場合、医療費が助成され自己負担を軽減できる制度です。 指定難病とは、難病のうち、患者さんの置かれている状況からみて良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いもので、以下の図に示した要件を満たし、国が指定した病気のことです。 ポルフィリン症は指定難病に含まれています(告示番号: 254)。

難病と指定難病

  • 発病の機構が明らかでない
  • 治療方法が確立していない
  • 希少な病気である
  • 長期の療養を必要とする

難病のうち、以下の要件を満たし、国が指定した病気

  • 患者数が日本において一定の人数(人口の 0.1%程度)に達しないこと
  • 客観的な診断基準(又はそれに準ずるもの)が確立していること
下向き三角

医療費助成の対象 (一定の要件を満たす場合)

対象となる患者さん
  1. 難病指定医*1により「指定難病」と診断され、「重症度分類等」に照らして病状の程度が一定程度以上の方
  2. 難病指定医により「指定難病」と診断され、「重症度分類等」に照らして病状の程度が一定程度以上でない方でも、 指定難病にかかる月ごとの医療費総額(10割分)が33,330円を超える月が支給認定申請月以前の12ヵ月以内(発症が12ヵ月未満の場合は発症月から申請月の間)に3回以上ある方「医療費総額(10割分)が33,330円を超える」場合の自己負担額の目安は以下のとおりです。
医療保険の自己負担割合

ひと月あたりの自己負担額(目安)

3割

10,000円を超える

2割

6,670円を超える

1割

3,330円を超える

ポルフィリン症と診断された患者さんの重症度は難病指定医が判定します。
詳しくは難病指定医にご相談ください。
  1. 難病指定医の一覧は、難病情報センターのホームページで確認できます。
助成の範囲
難病指定医療機関(病院、診療所、薬局、訪問看護ステーション)*2で受けた指定難病に対する医療費(介護保険における訪問看護などの医療系サービスを含む)
  1. 難病指定医療機関以外の医療機関で受けた治療の医療費や入院中の食事代・差額ベッド代などは範囲外になります。
  2. 難病指定医療機関の一覧は、難病情報センターのホームページで確認できます。
自己負担上限額
世帯の所得や患者さんの状況(一般*3、軽症高額該当*4、高額かつ長期*5など)に応じて自己負担上限額が決定されます。医療受給者証を交付された方は、医療費の自己負担額が2割*6になります。支払う金額が下の表に示した自己負担上限額より低ければ、そのまま2割分を支払い、高い場合には自己負担上限額を支払います。
  1. 難病指定医により「指定難病」と診断され、「重症度分類等」に照らして症状が一定程度以上の方
  2. 難病指定医により「指定難病」と診断され、「重症度分類等」に照らして病状の程度が一定程度以上でない方でも、指定難病にかかる月ごとの医療費総額(10割分)が33,330円を超える月が支給認定申請月以前の12ヵ月以内(発症が12ヵ月未満の場合は発症月から申請月の間)に3回以上ある方
  3. 指定難病医療受給者のうち、所得の階層区分について一般所得Ⅰ以上の患者さんが指定難病にかかる月ごとの医療費総額(10割分)が50,000円を超える月が12ヵ月で6回以上ある場合(例えば、医療機関での自己負担割合が2割の場合、医療費の自己負担額が10,000円を超える月が12ヵ月で6回以上)は、月額の自己負担がさらに軽減されます。なお、「高額かつ長期」の適用を受けるには認定申請が必要です。
  4. 75歳以上の方など、申請前の自己負担割合が1割だった方は、申請後も自己負担割合は1割です。

自己負担上限額(月額)

階層区分

階層区分の基準

※:夫婦2人世帯の場合における

年収の目安

患者負担割合:2割

ひと月の自己負担上限額(外来+入院)

一般

軽症高額該当

高額かつ長期

 

人工呼吸器等

装着者

上位所得

約810万円~

市町村民税:25.1万円以上

30,000円

20,000円

1,000円

一般所得Ⅱ

約370万~約810万円

市町村民税:7.1万円以上25.1万円未満

20,000円

10,000円

一般所得Ⅰ

約160万~約370万円

市町村民税:課税以上7.1万円未満

10,000円

5,000円

低所得Ⅱ

本人年収80万円超~

市町村民税非課税(世帯)*7

5,000円

5,000円

低所得Ⅰ

本人年収~80万円

市町村民税非課税(世帯)*7

2,500円

2,500円

生活保護

0円

0円

0円

入院時の食費

全額自己負担*8

  1. 均等割と所得割のいずれもが非課税の世帯です。患者さん(又は保護者)の年収(給与・年金・手当など)により階層区分(低所得Ⅰか低所得Ⅱ)が決定されます。
  2. 指定難病の方の自己負担額は、1食あたり260円です(所得区分により異なります)。

「一般」「軽症高額該当」「高額かつ長期」のイメージ

「一般」「軽症高額該当」「高額かつ長期」のイメージ
  1. 難病指定医療機関で受けた指定難病に対する医療費
  2. 発症が12ヵ月未満の場合は発症月から申請月の間
  3. 所得の階層区分が一般所得Ⅰ以上の患者さん

例:難病医療費助成制度を使用した場合

患者さんの例のイメージ

特定医療費(指定難病)受給者証の交付を受けた方の窓口負担額は2割負担で20万円ですが、難病医療費助成制度で定められている自己負担上限額より高額になるため、実際の窓口負担額は自己負担上限額(上限区分が「一般」の場合:20,000円、「高額かつ長期」の場合:10,000円)になります。

制度利用前の窓口負担額:20万円(2割負担)

制度利用後の窓口負担額

難病医療費助成制度を使用した場合の例のイメージ
医療費助成の申請から制度利用までの流れ
  1. 申請に必要な書類を準備します。

申請に必要な書類(例)

書 類

入手方法

特定医療費(指定難病)支給認定申請書

都道府県のWebサイトからダウンロード

又は市区町村の窓口

(保健所、役所・役場など)

臨床調査個人票(診断書)

難病指定医に必要事項を記載してもらう書類

医療保険の所得区分を確認するための書類(同意書)

保険情報の照合を保険者に行う際に必要な書類

住民票

申請者及び申請者の世帯の構成員のうち、申請者と同一の

医療保険に加入している者が確認できるもの

市区町村の窓口

(役所・役場など)

世帯の所得を確認するための書類

市町村民税(非)課税証明書など

健康保険証の写し(コピー)

申請者が高齢受給者証をお持ちの場合は、その写し(コピー)も添付

各自で用意

  • 「軽症高額該当」又は「高額かつ長期」を申請する際は、上記に加えて、医療費について確認できる書類(医療機関から発行された領収書や診療報酬掲載書など)が必要になります。
  • 申請に必要な書類や窓口は都道府県・指定都市によって異なります。詳しくはお住まいの地域の保健所や役所・役場などにお問い合わせください。
  1. 難病指定医を受診します。
  2. 診断後、難病指定医に「臨床調査個人票」を作成してもらいます。
  3. 臨床調査個人票を含むその他の必要書類をお住まいの都道府県・指定都市の保健所や役所・役場などの窓口に提出し、医療費助成を申請します。
  4. 申請後、審査を経て認定された場合は「特定医療費(指定難病)受給者証」と「自己負担上限額管理票」が交付されます。審査の結果、不認定となることがあります。その場合は、「不認定通知」が送付されます。
  5. 「特定医療費(指定難病)受給者証」と「自己負担上限額管理票」が届いたら、指定医療機関の受付窓口に、健康保険証とあわせて提示することで医療費助成を受けることができるようになります。
医療費助成の申請から制度利用までの流れのイメージ
  1. 交付は申請から少なくとも3ヵ月程度かかります。
申請から認定までに支払った指定難病にかかる自己負担上限額を超えた医療費は払い戻しを請求できることがあります。 払い戻しの手続きには領収書が必要になるので、保管しておきましょう。
支給認定の有効期間は、原則1年以内です。有効期限を過ぎて治療継続が必要な場合は、有効期間内に更新の申請手続きを行います。

難病情報センターホームページ(2021年8月現在)から引用 「難病対策」(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nanbyou/index.html (2021年8月閲覧)