医療費助成制度と社会福祉サービス

医療費助成制度と社会福祉サービスについて学ぶ急性肝性ポルフィリン症(AHP)患者さんのイメージ

医療費助成制度

3.小児慢性特定疾病医療費助成制度

小児慢性特定疾病医療費助成制度は、小児慢性特定疾病に罹患し、国が定める病気の程度である18歳未満の方を対象に、その世帯の所得に応じて治療にかかわる医療費に一定の金額(自己負担上限額)を設けて支払いの負担を抑えてくれる制度です。 ポルフィリン症(先天性ポルフィリン症)は小児慢性特定疾病に含まれています(告示番号:57)。

対象となる患者さん
以下の要件を満たし、小児慢性特定疾病指定医*1により「小児慢性特定疾病」と診断された18歳未満の方*2が対象です。
  1. 慢性に経過する病気であること
  2. 生命を長期に脅かす病気であること
  3. 症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる病気であること
  4. 長期にわたって高額な医療費の負担が続く病気であること

急性肝性ポルフィリン症(AHP)は「指定難病」にも該当するため、「難病医療費助成制度」 の対象にもなります。小児慢性特定疾病医療費助成制度を利用していた患者さんが18歳になったら、延長可能な20歳を迎えるまでの間に、「難病医療費助成制度」へ切り替えることを検討しましょう。

  1. 小児慢性特定疾病指定医は各自治体で公表されています。
  2. 18歳到達時点において本事業の対象になっており、かつ、18歳到達後も引き続き治療が必要と認められる場合には、20歳未満の方も対象になります。
助成の範囲
児童福祉法に基づく指定小児慢性特定疾病医療機関*3での通院及び入院にかかる医療費

保険適用外の診療や入院中の食事代・差額ベッド代などは範囲外になります。

  1. 指定小児慢性特定疾病医療機関は各自治体で公表されています。
自己負担上限額
世帯の所得や患者さんの状況(一般、重症*4など)に応じて自己負担上限額が決定されます。 医療受給者証を交付された方は、医療費の自己負担額が2割になります。支払う金額が下の表に示した自己負担上限額より低ければ、そのまま2割分を支払い、高い場合には自己負担上限額を支払います。
  1. 下記のいずれかに該当する患者さん
    1. 高額な医療費が長期的に継続する患者さん 月ごとの医療費総額(10割分)が50,000円を超える月が12ヵ月で6回以上ある場合(例えば、医療機関での自己負担割合が2割の場合、医療費の自己負担額が10,000円を超える月が12ヵ月で6回以上)
    2. 現行の重症患者基準に適合する患者さん 重症患者基準は、小児慢性特定疾病情報センターホームページの「医療費助成 重症患者認定基準」で確認できます。

自己負担上限額(月額)

階層区分

階層区分の基準

夫婦2人子1人世帯の場合における年収の目安

患者負担割合:2割

ひと月の自己負担上限額(外来+入院)

一般

重症

人工呼吸器等

装着者

上位所得

約850万円~

市町村民税:25.1万円以上

15,000円

10,000円

500円

一般所得Ⅱ

~約850万円

市町村民税:~25.1万円未満

10,000円

5,000円

一般所得Ⅰ

~約430万円

市町村民税:~7.1万円未満

5,000円

2,500円

低所得Ⅱ

~約200万円

市町村民税非課税

2,500円

低所得Ⅰ

~約80万円

市町村民税非課税

1,250円

生活保護

0円

入院時の食費

1/2自己負担

例:小児慢性特定疾病医療費助成制度を利用した場合

患者さんの例のイメージ

小児慢性特定疾病医療受給者証の交付を受けた方の窓口負担額は原則2割負担で20万円ですが、小児慢性特定疾病医療費助成制度で定められている自己負担上限額より高額になるので、実際の窓口負担額は自己負担上限額(上限区分が「一般」の場合:10,000円、「重症」の場合:5,000円)になります。

制度利用前の窓口負担額:20万円(2割負担)

制度利用後の窓口負担額

小児慢性特定疾病医療費助成制度を利用した場合の例のイメージ
医療費助成の申請から制度利用までの流れ
  1. 申請に必要な書類を準備します。 申請に必要な書類や窓口は自治体ごとに異なる場合があります。詳しくはお住まいの地域の自治体窓口などにお問い合わせください。
  2. 小児慢性特定疾病指定医を受診します。
  3. 診断後、小児慢性特定疾病指定医に「医療意見書」を作成してもらいます。
  4. 医療意見書を含むその他の必要書類をお住まいの都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置市の窓口に提出し、医療費助成を申請します。
  5. 申請後、審査を経て認定された場合は「小児慢性特定疾病医療受給者証」と「自己負担上限額管理票」が交付されます。審査の結果、不認定となることがあります。その場合は、「不認定通知」が送付されます。
  6. 「小児慢性特定疾病医療受給者証」と「自己負担上限額管理票」が届いたら、指定小児慢性特定疾病医療機関の受付窓口に、健康保険証とあわせて提示することで医療費助成を受けることができるようになります。
医療費助成の申請から制度利用までの流れのイメージ
  1. 交付は申請から数ヵ月かかります。
申請から認定までに支払った小児慢性特定疾病にかかる自己負担上限額を超えた医療費は払い戻しを請求できることがあります。 払い戻しの手続きには領収書が必要になるので、保管しておきましょう。
支給認定の有効期間は、原則1年以内です。有効期限を過ぎて治療継続が必要な場合は、有効期間内に更新の申請手続きを行います。

「小児慢性特定疾病対策の概要」(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000078973.html(2021年8月閲覧) 小児慢性特定疾病情報センター https://www.shouman.jp/assist/outline(2021年8月閲覧) 政府広報オンライン https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201412/3.html#section4(2021年8月閲覧)