みんなの声

みんなのイメージ

AHP患者さんの声 AHP私の場合

Bさん(40代 男性)
B
さん(40代 男性)

10年前くらいから、体調の異変を感じ、激しい腹痛や下痢、倦怠感などを経験深刻な症状があっても周囲に理解されないつらさを抱えながら過ごす

紹介する内容は、患者さんへの取材に基づいたものですが、すべてのAHP患者さんで同様の経過を示すわけではありません。

10年前くらいから、腹痛や下痢、倦怠感、不眠などの症状を抱えながら日々を過ごされてきました。これらの症状は、外出ができなくなるほど重くつらいものでした。その原因が「急性肝性ポルフィリン症(AHP)」だとわかっても、完治することはない一生つきあっていく病気であることを知り、その時が不安のピークだったそうです。そのような病気であることは周囲の人には理解されず、つらい思いをされたことも。いつかまた旅行をしてみたいと、回復を期待しつつ生活されています。

acute hepatic porphyria

Bさんのペイシェントジャーニー

原因不明の腹痛や下痢、倦怠感が続き、家で過ごすことが多くなりました

倦怠感が抜けずに年中体がだるい感じのBさんのイメージ

体調に異変を感じたのは10年前くらいからです。もともと胃腸が弱い方でしたが、この頃から原因不明の腹痛や下痢が続き、また、倦怠感も抜けなくなり年中体がだるい感じでした。原因が知りたくて、人間ドックで検査を受けたこともありましたが、特に異常は見つからず、「ストレスや疲労のせいではないか」と言われるだけでした。ストレスや疲労は誰にでもあるものなので、当時はそんなものかとスッキリしないまま検査結果を受け入れるしかありませんでした。

しかし、その後も体調は良くならず、むしろ悪化する一方で、会社を休みがちになりました。外出することが少なくなり、家で過ごすことが多くなったのもこの頃です。様々な治療を受けても症状は一向に良くならず、不安がますます増えていったことを覚えています。

症状の中で最もつらいのは、繰り返し起こる締めつけられるような激しい腹痛と下痢です。倦怠感も抜けないままで、こうした状態が続くとさすがに気分が落ち込み、精神的な治療も受けるようになりました。そして、眠ることさえ十分にできなくなったのです。不眠になるとさらに倦怠感が強くなる、そんな負の連鎖に陥っていました。さらに、アトピー性皮膚炎のような皮膚症状も出るようになり、様々な診療科にかかるようになりました。

急性肝性ポルフィリン症(AHP)と診断された時が不安のピーク。これは厄介な病気だと思いました

急性肝性ポルフィリン症(AHP)と診断されたBさんのイメージ

そのような中、通院していたクリニックから胃腸や神経性疾患を専門とする大学病院の先生を紹介していただく機会がありました。30代後半のことです。診ていただいたところ、「急性肝性ポルフィリン症(AHP)」であることがわかりました。つらい症状の原因がわかったことで少し安心しましたが、診断を受けた先生からは「完治することはない、一生つきあっていく病気です」とも言われ、不安な気持ちの方が大きくなり、その時が不安のピークだったかもしれません。

急性肝性ポルフィリン症(AHP)という病名を聞いたことがなく、どんな病気なのか知りたかったのでインターネットで調べてみました。すると、日本での患者数はわずか数百人で、特効薬がない難病であることを知りました。「この病気は厄介だ」と前途を悲観しましたが、がんや糖尿病など、なかなか治りにくい病気と同じようなものかと割り切って考えるしかありませんでした。

心無い言葉をかけられたこともありました。難病患者のことをもっと理解してほしいです

この病気にどれだけ苦しめられているか周囲の人になかなか理解してもらえないBさんのイメージ

父の会社で軽作業を手伝っていますが、40代になった今でも、体が重くて動くこともままならない状態です。重労働などはもちろんできません。こんな稀な病気のことは誰も知りませんし、外見にあらわれることもないので、自分がこの病気にどれだけ苦しめられているか、周囲の人にはなかなか理解してもらえません。職場では「まだ若いのだから当然動けるだろう」などと言われたこともありました。この病気は、気合とか根性とかでどうにかなるものではないのです。

また、この病気に限らず、思うように体を動かすことができない難病患者にとって、医療費助成を受けるための申請手続きは煩雑で大きな負担だと感じています。難病患者の苦しみを理解してもらい手厚いサポートが受けられる社会になればいいなと思います。

約10年間遠出できていないので、体調が回復すれば旅行をしてみたいです

急性肝性ポルフィリン症(AHP)のことを周りの人にもっと知っていただきたいBさんのイメージ

診断を受けた後、インターネットで急性肝性ポルフィリン症(AHP)のことを調べた時もそうでしたが、患者数が少ないせいか、この病気に関する情報があまりにも少ないことに憤りを感じています。例えば、同じ病気の方がどのように生活されているのか、新薬は開発されているのかなど、知りたい情報を見つけることができません。

急性肝性ポルフィリン症(AHP)のことを周りの人にもっと知っていただき、この病気に関する情報が少しでも増えていくことを期待しています。

つらい症状に悩まされて10年近く経ちました。それでも、診断を受けてから始めた治療のためなのか、症状は完全ではないものの多少は緩和されてきた感じです。この約10年間は遠出ができなかったので、もっといい治療薬が開発されるなどして、体調が回復すればどこか旅行でもしてみたいと思っています。

Patient Voice 動画アイコン Bさんの声を動画で見る